トップページにも書いたとおり、現在、地方公務員から転職して人生を再設計する方は確実に増えています。年齢や性別にかかわらず、です。
私が市役所を退職したとき、3月31日の辞令交付式には、定年退職者と同じ数ほどの「早期退職者」が並んでいました。20代、30代、40代、50代すべての年代で、男女もさまざまです。
その「早期退職」のすべての人が、転職者でした。
例えば10年前であれば、そんな光景は信じられないものだったと思います。
昔は、定年退職者の後に寿退職の女性が数人並ぶ程度でした。
転職者は、地方公務員を続ける事よりも転職することにメリットを感じているからこそ、転職します。
では、「安定」を捨ててでも地方公務員から転職することの最大のメリットは、一体何か。
このページでは、このことについてまとめてみます。
「最大のメリット」は、転職の背景によって大きく2つに分けられます。
①積極的転職パターンの場合~自己実現を達成できること
「積極的転職パターン」とは、自分のやりたいこと、つまり「自己実現」の夢を叶えたい!という背景で転職するパターンです。
このパターンの場合の最大のメリットは、何と言ってもその「自己実現」を達成できること(またはそれにチャレンジできること)です。
転職先が、民間だとしても、公務員だとしても、起業だとしても、人生を懸けてチャレンジするからには、自分が幸福を感じるための最大の目的があるはずです。
私の場合は、行政書士として人の役に立つことが自己実現でした。
それを達成することができ、仕事をしながら日々幸福を感じられる環境にあります。
一般的に挙げられる転職のメリットである「収入が増える」とか「地方公務員としての閉そく感を打ち破れる」とか「新しい仲間と出会える」などのことは、実は、二の次の話なんですよね。
(それらが最大の目標だという方もいると思いますし、それこそが自己実現だという場合もあるとは思います。)
なお、地方公務員から転職する場合、そのほとんどのケースで年収は一度下がりますが、この①積極的転職パターンの人の場合は、最終的には地方公務員時代の年収を超える人が多いです。
私は、まだ地方公務員時代の年収には追いついていません。
追いつき追い越すには、あと数年必要だと思っていますが、それも計算・覚悟した上での転職なので、焦りや後悔はありません。
つまり、「地方公務員を辞めてまで実現したいと思えたことを実現できること。」そして、「そのことで幸福を感じられること。」が、最大のメリットなのではないでしょうか。
②消極的転職の場合パターン~現在の職場を離れられること
「消極的転職パターン」とは、地方公務員の仕事に心が折れ、挫折して、とにかく現在の職場を辞めたい!というパターンです。
このパターンの場合の最大のメリットは、「現在の職場を離れられること」そのものです。
市役所総務課時代によく見たパターンです。
特に20代から30代前半の若手職員が辞めていくときです。
残念ながらこういった消極的な理由が第一にあって、その後付けのように「実は他にこういう仕事がやりたい」と話すケースをたくさん見ました。
これを読んでいる現役の地方公務員の方にはわかっていただけると思うのですが、大方の世間一般のイメージどおり、地方公務員の実際の仕事って、本当に本当に地味な作業が大部分です。
特に若い世代にとっては、色々と周りのお偉い(上司や議員、まちの権力者など)から理不尽なことを言われることも多くて、板挟みになったりしてストレスを抱える子も多い。
残念ながら、パワハラに近いことも現実的にあるし、その他のハラスメントも含めて、職場からも職場外からもプレッシャーをかけられ(または自分で過大にそれを感じ)、耐えられずにやむなく「逃げ道」として転職を考えるパターンです。
市役所時代、そういった若い職員をたくさん見ました。
そのケースごとに最善の処方を考えて、専門家のカウンセリングを受けさせたり、最終手段として人事異動を行ったりと、そのケアには大変気を遣ってきました。
でも、どんなにケアしてもダメな子はダメでした。
もう、思考回路が「逃げたい」のゾーンに入ってしまうと、なかなか出てこれなくなります。
暇さえあれば「どうやって辞めてやろうか」を考えてしまっています。
残念ながらこういうケースは現実にたくさんありました。最善を尽くしても変わらなければ、もうその気持ちを否定すること、つまり止めることははなかなかできなくなります。
このケースの場合については、もう「地方公務員を辞められること」自体がすべてで、つまりは、「心が折れてしまった原因のある職場を辞められること。」そして、「それにより新しい人生をリスタートできる。」ことが最大のメリットということになるのでしょう。
※このパターンの場合は、収入などはもう二の次で、人間関係などの環境さえ悪くなければ、とにかく現在の職場を離れられれば良い、という思考になっています。
まとめ
地方公務員から転職する最大のメリットは、
①積極的転職パターン
とにかく「自己実現を達成できる」こと。
→地方公務員を辞めてまで実現したいと思えたことを実現できる。
→そのことで幸福を感じられる。
②消極的転職パターン
とにかく「現在の職場を離れられる」こと。
→心が折れてしまった原因のある職場を辞めることができる。
→それにより新しい人生をリスタートできる。
それぞれの人生ですし、それぞれ現在置かれている環境も違いますから、すべてが上記に当てはまらないかもしれませんが、私の経験上、おおむねこのとおりです。
共通していることは、どちらも、大変意義があることだということです。
例えば、②消極的転職パターンを「逃げ道」のように表現しましたが、その行為自体が悪いことだとは、私は少しも思っていません。それにより、新たな道で幸せに働けるならば、大変素晴らしいことです。
一番悪いのは、現状を変えたいという気持ちがありながらも、ずるずると転職に踏み切れないままでいることだと思っています。
なお、この積極的転職パターンと消極的転職パターンについては、下記の記事の「地方公務員→民間」の項目にも、話が出てきます。こちらもご参考ください!
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