市町村も、ひと昔前と比べると考えられないくらい、中途採用に積極的です。
はっきり言って、人材難なんです。
いまや人材難は、どの市町村にとっても悩みの種です。
これは、元市役所総務課で中途採用を担当した私が言っているので、わりと信憑性はあると思います(笑)
他市町村の総務課の方々も、みな同じようなことを言っていました。
そんな市町村職員への転職を考えている都道府県職員の方、チャンスは大きいと思いますよ!
このページでは、都道府県職員から市町村職員への転職についての、メリットやデメリットなどをまとめています。
※この記事は、都道府県職員の方向けです!
目次
1.市町村職員のメリット
①都道府県職員時代の知識・経験・人脈を活かせる
メリットとしては、自分の知識・経験・人脈を活かして仕事ができるということが一番だと思います。
都道府県職員の知識・経験・人脈というものは、市町村にとっては大変ありがたいものとなります。
もし、中途採用試験へ都道府県職員からの応募があれば、市町村人事担当としては確実に目を引きます。
その人の経験値の高い分野で専門性を発揮してもらうことや、都道府県の様々な部署とのパイプができることも期待できるからです。
そういった意味からも、このパターンは、「その都道府県内の市町村」への転職が望ましいところです!
転職理由としても「これまでの経験を活かして、より現場に近い基礎自治体で活躍したい」など、ストーリーが組み立てやすくなります。
配属の部署とは直接関係のない分野であっても、その人脈が市町村の助けになることは確実にあると思います。
自分がこれまで積み上げたものを活かせるということは、何より強くやりがいを感じられるでしょう。
②転勤がない
これまで転勤を強いられてきた都道府県職員にとっては、転勤がないことは一つの大きなメリットです。
特に、ご家庭の事情で転勤や単身赴任が難しい場合は、市町村職員への転職によってこのことが解決されるでしょう。
逆に言うと、家族を含めて「ずっと住み続けたい」と思える市町村に転職することが重要です!
2.市町村職員のデメリット
①一般市民からのクレームは都道府県より多い
都道府県職員でも、もちろん部署により色々なクレームは当然に受けると思いますが、市町村へのクレームはまたちょっと独特なので、戸惑いは生まれると思います。
一般的にイメージされる戸籍や住民票発行の市民課窓口だけではありません。
例えば、
・家庭ごみの分別収集に関するクレーム
・上下水道料、住民税、国保、介護保険料が高いなどのクレーム
・道路管理、公共施設管理、除雪に関するクレーム
・動物の放し飼いに関するクレーム
・広報の内容に関するクレーム
…などなど。
配属になる部署や立場にもよりますが、実に様々。
住民から身近な役所だけに、電話だけではなく、面と向かって対応することも多々あります。
もちろん、どんなクレームに対しても毅然と対応するだけですが、話の通じない住民もたくさんいますから、一定の覚悟は必要です。
②議会対応がガチで負担が重い
都道府県職員のメリットの逆になるんですが、市町村議会の対応は相当のストレスになることは避けられないと思います。
市町村議会の質も千差万別ではありますが、全般的に議員の質は都道府県議会議員に比べて高いとは言えません。それだけに、議会質問も低品質なものが多いと感じるでしょう。
昨今ネット上で話題になっている、安芸高田市議会がいい例です。
しかし、「腐っても議会」です。
本会議でも各委員会でも、正規の手続を経て出された質問や資料請求には、どんなに時間や手間のかかるものであっても出さなければなりません。
本心では「これに真面目に対応して一体何になるんだ」と感じていても。負担感は強いと思います。
3.市町村職員に向いている人
①機動力があり、ゼネラリスト志向の人
中途採用での転職であったとしても、その年齢にかかわらず、数年での人事異動はあるでしょう。
特に市町村の現場では、エキスパートよりゼネラリストを求めます。
総務、財政、企画などの経営的視点を持ちながら、福祉、建設、観光などの現場的視点で活躍できる人材が理想です。
職員数が限られる分、一人に対してマルチな能力が求められるわけです。
色々なことに機敏に対応できる機動力も、必要です。
そういった能力に自信がある人は、向いていると思います。
②より住民に近い現場で活躍したい人
地方公務員の使命である「まちづくり」という感覚で言うと、まさに市町村職員は最先端に立つプレイヤーです。
より住民に近い市町村は、基礎自治体特有の大変な仕事もありますが、現場でしか得られない強いやりがいを感じられる職場だと思います。
誤解を恐れず言うと、都道府県は明らかに書類上での仕事の方が多いですが、市町村は書類と現場が半々くらいの感覚です。
たとえ小さなことでも、目の前の住民の喜ぶ顔に幸せを感じられるなら、市町村向きかもしれません。
自治体学会の創始者の一人である森教授はかつて、「公務員の醍醐味を最も感じられるのは市町村だ」と言いました。
これは、都道府県より組織が小さい分、理事者や上司に対し意見を具申しやすいというニュアンスでした。
都道府県のような大きな組織では変えられなかったようなことでも、理事者までの距離が近い市町村なら変えられるチャンスがあるということも、やりがいの一つになるかもしれません。
現場の発想から改革していきたい!という志のある方には、向いている仕事だと思います。
4.市町村職員に向いていない人
①専門職を目指すエキスパート志向の人
3.①の逆になりますが、市町村の現場ではエキスパートを重宝する趣きは少ないです。
もし、都道府県職員時代によっぽどの専門的経験があり、年齢も比較的高い場合、ワンチャン望むべく部署専属でのエキスパート的採用があるかもしれませんが、可能性は低いと思った方がいいです。
最初は、前職を活かした部署への配属は考慮してもらえると思います。
ただ、そこでずっと同じ仕事をさせてもらえるかと言うと、3.①に書いたとおりゼネラリストを求める市町村においては、叶わないかもしれません。
②総合的に見てメンタルの弱い人
現代社会は、メンタルをやられる社会人が増えており、市町村職員も例外ではありません。
私の元職場(市役所)でも、若手、中堅の区別なく毎年精神的な理由で休職する職員がいました。その理由は様々ですが、総じて、メンタルが弱い方には向かない仕事だと思います。
2.のデメリットで書いた一般市民や議会の対応は、思う以上にメンタルが疲弊します。
つまり、はるか昔のイメージで、市町村でマターリ仕事をしたい…という感覚で転職すると、残念ですが厳しい現実が待っていると思います。
まとめ
1.市町村職員のメリット
①都道府県職員時代の知識・経験・人脈を活かせる
②転勤がない
2.市町村職員のデメリット
①一般市民からのクレームは都道府県より多い
②議会対応がガチで負担が重い
3.市町村職員に向いている人
①機動力があり、ゼネラリスト志向の人
②より住民に近い現場で活躍したい人
4.市町村職員に向いていない人
①専門職を目指すエキスパート志向の人
②総合的に見てメンタルの弱い人
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