地方公務員から<国家公務員>への転職について【向いている人・向いていない人】

地方公務員から公務員

国家公務員というと、新卒採用しかないと思われがちですが、違います。

都道府県や市町村と同様に、中途採用に積極的です。

 これは、内閣官房と人事院が下記サイトではっきりと公式に言っています。

>>>国家公務員 中途採用情報サイト(内閣官房/人事院)

 国家公務員と聞くと、新卒での採用がほとんどだとお考えの方が多いように思います。
 しかし、実は、民間企業等での社会人経験を積んだ方々を対象とする中途採用も積極的に行っているのです

 複雑化する社会課題の解決のためには、民間企業等で培った、多様な価値観、経験、専門的な知識やスキルを持つ人材が必要です
 政策を立案する際に新たな視点をもたらし大きな原動力になってくれることを期待しています。

(内閣官房/人事院サイトより抜粋。※太字は管理者による。)

 そもそも、このような「中途採用情報の専門サイト」があること自体、国も中途採用に積極的な証拠です(笑)。

 ただし、主たるところは「民間企業等の社会人経験を積んだ方々」となっているところに注意が必要です。

 内閣官房や人事院が、中途採用で一番に求めているのは、レベルの高い「民間経験者」です。地方公務員の経験が、他の受験者と比べてアドバンテージ(有利)になることはないと思うべきです。

このページでは、地方公務員から国家公務員への転職についての、メリットやデメリットなどをまとめています。

※国家公務員の中途採用の場合、その種類や採用条件は、上記サイトをくまなく見るのが一番です。当然に最新情報ですし、内容に間違いもありません。

1.国家公務員のメリット

①残業さえがんばれば、収入は高水準

 大企業社員や起業家などで大きく稼いでいる同世代に比べると、収入は劣るかもしれませんが、日本の平均から考えると、間違いなく高水準です。

 国家公務員の宿命である残業さえがんばることができれば、「安定」かつ「高水準」は期待してもよいところです。実際、国家公務員への中途採用志望者はみな、ここを求めてきています。

 各種手当もまだまだ充実しています。地方公務員の手当は、各地方とも平成後半において削減・縮小の一途でしたが、総じて国家公務員の手当の方がやや厚いです。

②福利厚生は相当分厚い。特に官舎はコスパ最強

 公務員自体の福利厚生が充実していることは、地方公務員の方であれば十分ご承知かと思います。

 国家公務員も、当然同様です。ここ十数年、厚遇批判の声がある中でその程度は徐々に落ちていますが、民間に比べるとまだまだ分厚い内容です。

 私が、現役国家公務員の話を聞いて特に感じるのは「官舎」の存在。それこそこの十数年で削減こそ進みましたが、今なお「格安官舎」が多く残っています。

 多少の古い・狭いを受け入れて「官舎」に住むなら、住居費を格段に抑えることも可能です。

2.国家公務員のデメリット

残業に耐えられる体力と精神力が必要

 霞ヶ関の国会対応などは言うまでもありませんが、例えば地方各局の仕事においても、基本的に残業天国の風土は未だにあります。昔よりはよくなっていると思いますが…

 この点は、各省庁や、各職場や、各課係や、各時期によって当然異なるので一概には言えませんが、全体としては、地方公務員の方がまだ「働き方改革」の風土は育っています(省庁と比べれば)。

 もし、あなたの地方公務員から国家公務員に転職したい理由が「ワークライフバランスの充実」のようなことだとしたら、国家公務員はおすすめしません。体力と精神力が持たないと思います。

②一般市民からクレームを受けることもある

 国家公務員は、当然霞ヶ関だけで仕事をするわけではなく、いわゆる出先機関である地方各局で仕事をする場合が多くあります。むしろ、地方公務員から転職する場合、出先機関配属の可能性の方が高いです。

 例えば、財務省国税局の出先機関である「税務署」の窓口で、一般市民の確定申告の相談を受けることもありますし、国交省の出先機関である「運輸支局」の窓口で、車屋さんからの相談を受けることもあります。

 地方公務員の方であれば何となく想像がつくかもしれませんが、上記のような相談等は、相手が「いい人」であるとは限りません。法的にできないことをできないと説明しても、大声でクレームを言われることもあります

 「一般市民のクレームから離れたい」ことが転職理由にあるとしたら、注意が必要です。

3.国家公務員に向いている人

①情熱があり、本気で国のために仕事をしたい人

 国家公務員に限らず、転職を考えている時点でそれぞれの「情熱」を抱えているとは思いますが、国家公務員を目指すなら、「国のために国の仕事をしたい」という部分での情熱は誰にも負けないくらいのものが欲しいところです。

 地方公務員でも、ひいては「国のため」に仕事をしているとは思いますが、地方公務員の世界でまず最初にあるのは「地域のため」ですよね。その点、国家公務員となると完全に視点が変わります。時には、地方と対立したり、地方を厳しく指導しなければならない立場に立つこともあります。

 そういったことも含めて、「地方」から「国」へ自分の視野を広げて仕事をしたい!という情熱がある方には、向いていると思います。

②省庁が求めるスキル・経験を持ち合わせている人

 特別な資格が必要ということではなく、国家公務員の中途採用枠に「経験者採用」という枠があるので、地方公務員としての職歴の中で、特別にアピールできる実績をお持ちの方には、チャンスがあります

 ただし、人事院のサイトには、これまでの経験者採用者の前職事例としては「金融機関、投資銀行、保険会社、監査法人、建設会社、旅行会社、食品会社、IT・通信会社、化学メーカー、鉄鋼メーカーなど(抜粋)」と記されており、地方公務員からの採用はハードルが高いことも認識しておく必要があります。

 この辺からも、やはり、国が欲しい中途採用者は「民間経験者」がメインだとわかります。

4.国家公務員に向いていない人

家族との時間を重視したい人

 とにかくどの省庁に入省したとしても、「激務」を覚悟する必要があります。2.①に書いたとおり、残業天国の風土は否めない職場です。

 ご家族がいて「仕事よりも家族との時間を重視したい」という方には、向かない仕事です(例えば、まだお子さんが小さく、家にいる時間を優先したい方など)。

 特に、中途採用の場合は、周りからも高い期待がかかります。そういった重圧の中で、採用からしばらくは「仕事優先」にできることが必要です。

②成績を評価してもらってキャリアアップをしたい人

 地方公務員でもそうですが、国家公務員でも人事評価制度は形骸化しているのが実態です。

 地方公務員の方ならわかるかもしれませんが、そもそも「公務員」という職種自体、民間企業のように数字で評価・査定することは大変難しいところがあります。

 もし、国家公務員に対して「能力や業績を正当に評価してもらってキャリアアップできる!」と考えている方がいたら、入省後に愕然とすることになると思います。

まとめ

1.国家公務員のメリット

 ①残業さえがんばれば、収入は高水準

 ②福利厚生は相当分厚い。特に官舎はコスパ最強

2.国家公務員のデメリット

 ①残業に耐えられる体力と精神力が必要

 ②一般市民からクレームを受けることもある

3.国家公務員に向いている人

 ①情熱があり、本気で国のために仕事をしたい人

 ②省庁が求めるスキル・経験を持ち合わせている人

4.国家公務員に向いていない人

 ①家族との時間を重視したい人

 ②成績を評価してもらってキャリアアップをしたい人

 正直に言うと、同じ公務員でも地方公務員とはかなり文化が異なるため、積極的におすすめはしていません。

 しかし、絶対に国家公務員になりたいという強い情熱のある方、国政に活かせるスキル・経験をお持ちの方には、ぜひ頑張ってもらいたいです!

 逆にそれらがないのなら、別の地方公務員への転職を考える方がいいと思います!

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